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自己修正力を育てるための指導

音づくりは耳づくり

 自分が発した音が、本来出すべき正しい音や、構音指導の過程で教師が求める音に対してどうであったのか、同じ音であったのかそうでなかったのかが分かったり、また、自分で自信をもって判断することが出来たとか出来なかったという自覚が持てたりすることは、構音指導の開始から終了に至るまでの全ての過程を通して求められる大切な力です。
 そもそも、構音指導を始めるためには、自分の発した音が、本来出すべき正しい音とは異なっていて、このような音になっているということに対する自覚が必要です。そうでなければ、指導者にとっても子どもにとっても意図的で計画的な営みである構音指導によって(子どもに指導を意識させない自然法であれば別ですが)、その子には無い音を作ったりその子が誤っている音を治したりしていくことは出来ません。
 従って、もし、自分の発した音が誤っているとの自覚が無い場合には、いわゆる「耳の訓練」によって、本来出すべき正しい音とその子が発している誤った音との聴取弁別が出来るようになるための指導から始めます。

この聴取弁別の力は、指導の開始時にはもちろんですが、構音指導を進めていく中で、あらゆる過程で常に求められる力です。開始時には、弁別が出来ることにより、指導を受けることの意味を理解し、自己治療意識を高めることが出来ます。ターゲットの音は、最終的には本来出すべき正しい音ですが、構音指導の過程では、子音であったり、漸次接近法の場合には、誤っている音と最終的なターゲットの間に連続的に存在する無数の音であったりします。子どもは、教師がモデルとして聴かせ与えるその時々のターゲットの音やその音に対するイメージと、自分が発した音とを聴き比べ、どうであったかを判断するのです。

耳づくりの段階的指導

・ はじめは、教師が発した正しい音と誤っている音とを聴き比べさせます。

「この文字の音は、こんな音」、「この文字を音にかえると、こうなります」などと言って、ターゲットの音と誤っている音それぞれについて文字に対応するモデルとなる音を聴かせます。

文字を示しつつ、ターゲット音に対する他の音の正誤や、ターゲットの音や誤っている音がどちらの文字の音であったか、2音の連続が同じ音同士の組み合わせであったか異なる音の組み合わせであったかなどを弁別させます。

次第に文字を消去していきます。

・ 次第に自分が発した音がターゲットの音に対してどうであったかを判断するようにさせます。

はじめは、「今の音はどうだった?」などと問い掛けて、注意を促します。

次第に自分から吟味出来るようにしていきます。

聴取弁別から自己修正の力へ

 ・ 発してしまった誤りに対して、修正を求めます。

はじめは、教師が直接誤りを指摘します。

直接、誤っていたことを告げ、修正を求める段階から、次第に自分から誤りに気づいて修正を試みることが出来るようにしていきます。

子どもの構音に誤りがあった時、「今のこの音がこんな音になっていたよ」と、ターゲットの音や誤って出された音を示すという段階から始め、「今は?」「ん?」などと言って気づきを促し、分からなければ教え、自分から気づいた時には「よく聴いていたね」などと言って称賛することを通して、常に自分の発した音に耳を傾け注意深く聴き取って音の正しさを吟味しようとする態度と能力を育てていきます。

聴取弁別の力と、自分の発した音の、ターゲットの音に対する正しさを吟味しようとすることが出来る態度と能力が求められます。

・ 誤りに対して、修正することを求めます。

    はじめは、教師が正しい音のモデルを聴かせ与え、復唱を求めます。

    修正が困難な場合は、音の作られ方を視覚的に示したり、説明したり、実際に音の作り方の復習をしたりします。

    音作りまで戻った場合は、単音節で正しく出せることを確認した上で、修正にトライさせます。

    次第にモデルが無くても、自分で試行錯誤してターゲットの音に至れるようにしていきます。

    数回のうちに正しい音に至れなかった場合は、誤った音の繰り返しになることを避けるために、修正の強要はしないようにします。この場合は、指導を一つ前の段階に遡って十分な安定が得られてから次の段階に進むようにします。

    自己修正は、誤った音に対して注意を集中し、意識して出そうとして出せば正しく出すことが出来るという段階になったときに求めます。
 
この自己修正の力が備わっているかどうかは、日常会話レベルでの十分な改善が見られないうちに、卒業や転校、家庭の事情など、何らかの理由で早期に指導を終了しなければならない場合に、終了の可否を判断するための条件の一つとなります。